このサイトは2020年3月31日まで稼働していた、feel NIPPONの活動報告サイトのアーカイブです。
2019年度までの活動報告をご覧いただけます(現在、更新はしておりません)。

技のヒット甲子園2014 ブラッシュアップ コンサルティング会議

ブラッシュアップ コンサルティング会議

日本商工会議所が実施している地域力活用新事業∞全国展開プロジェクト「feel NIPPON」と、トレンド情報誌「日経トレンディ」のコラボレーションイベントによる「技のヒット甲子園」が、今年も開幕しました。
日本の伝統の素材や技を活かしながら、現代の市場に合う、新しいアイデアを盛り込んだ新商品を掘り起こそうと2013年から始まった本事業は、来る12月3日(水)~5日(金)に渋谷ヒカリエで開催する展示商談会に向けて、各商品のブラッシュアップコンサルティング会議を実施しました。
流通業界、メディア業界の専門家を招いて、さまざまな意見やアイデアが交わされた会議の様子をレポートします。

果汁絞機カジュッタ

諏訪商工会議所(長野県)・株式会社CAJYUTTA

果実の中身だけを粗絞りジュースに仕上げる、画期的なジューサーミキサーです。このミキサーは、果実をそのまま器にしてジュースを楽しむことができ、業務用を中心に注目を集めています。そこに活かされている技は、特殊な刃の形状で、会議では、飲食店という利用シーンを考慮した安全性の向上や、より幅広く活用できるレシピ提案について、意見が交わされました。

事業者コメント
株式会社カジュッタ
マーケティングディレクター 武居章彦さん
販路・メディア対策・ソフト提供など、販売戦略について、様々な見地から指針となる意見をいただくことができました。展示会に向けて、まずはソフト提供の開発に注力したいと思います。展示商談会では試飲もできますので、素材のおいしさをそのまま活かした飲み心地を楽しみにしてください。

YSトート

龍野商工会議所(兵庫県)・株式会社ワイエス

兵庫県龍野市を代表する伝統産業である皮革の技術と経験を駆使し、薄くて軽く、そのうえ、手頃な値段を実現した商品です。「皮革のよさを伝えるために、バッグというプロダクツは妥当か」「どんな消費者を狙いとし、またそのニーズに合わせていくのか」といった観点で、流通・メディアそれぞれの視点からアドバイスが飛び交いました。

事業者コメント
株式会社ワイエス
長谷川加奈子さん
各業界のプロ目線でのアドバイスが具体的で実践に取り入れやすく、早速12月に向けて手直しを加えます。新しく生まれ変わったCambiareの商品成果をご覧いただける様、努力しています。会場で商品を見ていただき、お気づきの点などございましたら、ぜひお聞かせいただければと思います。

鋳鉄製ごはん釜

桑名商工会議所(三重県)・桑原鋳工株式会社

江戸時代から続く、三重県桑名市伝統の「くわな鋳物」で、昨年に引き続き進化を図るごはん釜。話題の高校生レストランとのタイアップで、カラーバリエーションやレシピの開発に取り組んできたこの1年の経過共有から始まり、次なるステップとして、販売方法の仕組みについて、メディア業界の専門家を中心に実例を用いた説明がありました。

事業者コメント
桑原鋳工株式会社
代表取締役社長 桑原健造さん
対象商品に限らず、今後の製品展開に対してもアドバイスをいただけたことが大変参考になりました。展示商談会では、より豊富なカラーバリエーションのごはん釜と、ミニフライパン、一人用鋳鉄天ぷら鍋、鋳鉄臼、鋳鉄湯呑などの幅広い製品をお持ちして、「鋳物」を身近に感じていただきたいと思います。

ピアノボックス

府中商工会議所(広島県)・豊田産業株式会社

木工のまち広島県府中市から参加する同社は、木工ならではの温かみを活かしたどこか懐かしいデザインで、木工をより身近なものに感じられるような商品作りをしています。デザインの着想について掘り下げるうちに、同社が積み上げてきた桐の衣装箱の技術に専門家が注目しました。その「シンプルな中に、技が宿るプロダクツ」への具体的なアイデアが寄せられました。

事業者コメント
豊田産業株式会社 
営業 豊田晃子さん
違う視点から、目からうろこのご提案をいただき、12月の展示会では「〇〇が入る箱」「〇〇を入れる箱」と謳えるクラシックな桐箱をご提案します。桐はとても柔らかく、丁寧な扱いを求められますが、長年桐を扱ってきた当社のこだわりと愛情をお伝えしたいです。

六角升之助

加茂商工会議所(新潟県)

新潟県加茂市の木工技術を活用して、地域の酒蔵文化からヒントを得た六角形の無塗装の升です。たんすや家具造り等、優れた職人技が息づく地域の建具屋さんが商品作りを担い、加茂商工会議所が販売しています。加茂市の花でもある「雪椿」を生かした商品づくりのアイディアや、より踏み込んだ利用シーンの検討、販売価格へのアドバイスなど、技術が活きる道について活発な意見が交わされました。

事業者コメント
加茂商工会議所
業務指導課 髙畑結城子さん
商品の魅力の伝え方、ターゲットの設定、価格設定をはじめ使っていただく方の視点に立ち、商品の背景にある物語をしっかり伝えること等、商品開発で大切なことを改めて実感し、大変参考になりました。ヒカリエに向けては、大きな修正は難しいかもしれませんが、今後の改良を多くの方に見ていただき、加茂から全国に発信できる商品づくりに取り組んで行きたいと思います。

紙バンドの手芸キット(てまり)

富士商工会議所(静岡県)・植田産業株式会社

紙のまち静岡県富士市で、全国生産量の7割を占める米袋を結わう紙バンドを応用し、手芸用に多色展開した商品が「パピエス」です。買って楽しい作って楽しいカラーバリエーションや、素材を活かした商品提案に、専門家も可能性を大いに感じていました。地域に愛される事業展開の方向性や新業態への提案など、アドバイスも具体的なものが挙がりました。

事業者コメント
植田産業株式会社
業務部次長 小林丈洋さん
素材としての紙バンドの可能性を確認でき、とても良い刺激になりました。展示商談会では、カラーバリエーション豊かな紙バンドを前面に出し、紙バンド手芸の素晴らしさを知っていただくため、愛好家による作品を展示します。手芸キット「てまり」は、紙バンド手芸の入門用として、また新年向け商品「干支(羊)キット及び完成品」の実演も兼ねてアピールします。他にも若い女性に興味をもっていただくため、切り売り販売や、世界文化遺産“富士山”をモチーフとしたブローチ等の紙バンド手芸製品も販売します。

川越唐桟ワイシャツ

川越商工会議所(埼玉県)・株式会社丸広百貨店

川越伝統の縞木綿「川越唐桟(とうざん)」を使ったワイシャツです。オリジナルのワイシャツを、地元のものと合せて安く作りたいという丸広百貨店の思いにより、織り手の減少などの課題を乗り越え商品化されました。粋な柄、「綿なのに絹の肌触り」を活かす雑貨への展開、意義ある事業が続くための商品価格の見直し、他の地域でのアピール等、地元で生きる百貨店に向けた前向きなアドバイスが集まりました。

事業者コメント
株式会社丸広百貨店
本店営業部営業第2部長 伊藤敏幸さん
業界の枠を超えた方々からご意見を伺うことができ、非常に新鮮でした。お客様目線の価格、品質に対するご意見、地方百貨店としての地域・地元との繋がり方へのアドバイス等、有益な1時間になりました。商品発注サイクルにより、直近での仕様変更等、難しい部分もありますが、いただいたアドバイスを参考に、展示商談会では様々な方のご意見を収集し、次期商品開発、訴求方法のヒントに役立てたいと思います。

龍野の革を使ったバッグensu、ECHO、Prezence

龍野商工会議所(兵庫県)・レリップ株式会社

国内の革シェア8割を誇る兵庫県龍野市で、その確かななめし技術を活かし、バッグ職人を一から育てて出来上がったバッグです。独特な色あいや軽さを実現するなめしの技術には専門家も納得です。「龍野」という信頼のブランドの認知を広げるため、地域単位での取り組みを促進しながら、さらなるターゲットの絞り込みや、セミオーダーの仕組みの展開など活発な意見が飛び交いました。

事業者コメント
レリップ株式会社
代表取締役 中嶋えい子さん
アドバイザーの方々にも革の良さと価値を分かっていただけて、本当に嬉しく思っています。商品に対しても様々な観点からご意見を伺うことができたので、今後の商品作りに生かしたいです。
自社製造の革の良さを手に取ってじかに感じていただき、デザインに込められたこだわりや、素材・デザイン・縫製すべてを一貫して龍野で行う「メイドイン・たつのブランド」を発信することで、その良さを広く伝え一人でも多くの方々に喜んでいただける商品づくりを目指しています。ヒカリエ展示会では3種類のバッグをご覧いただける予定です。全国有数の革の産地 龍野のこだわりの革製品をぜひご覧ください。

今回の審査員を務めた株式会社意と匠研究所代表の下川一哉さんは、ブラッシュアップコンサルティング会議を終えて、「事業2年目となり、進化している商品も多く見受けられました。これは、自分たちの持つ強みをしっかり捉えることができた結果だと思います。自分たちが既に持っている素材、作ってきたものの価値、可能性にまず気づき、その素材と技が最大限に生きる方向性を考えていくことが大事です」と、語ってくださいました。「私たち審査員が、事業者と一緒に、素材や伝統の原点・歴史を掘り下げていくことで、皆さんが自らの核を強固にしていく、そのお手伝いができると意義を感じています。ヒカリエでは、素材や技術に光が当たるよう、シンプルでモダンな展示にしますので、ぜひみなさん楽しみにいらしてください」(下川さん)