豊富な海産物と豊かな自然で名を馳せる宮城県塩竈市。古くは縄文時代より製塩の地として栄えた記録が残る、歴史ある町だ。塩釜商工会議所では、塩釜の特長である漁港・漁師をキーワードとして着目し、「元気・新鮮・美味しい食」をコンセプトにしたプロジェクトを実施した。地域資源の魚介類や無農薬野菜などを使った漁師の食事やお酒、お菓子、民芸品を調査。さらに製塩を古来の手法で復活させ、新商品として再開発することで「塩釜みなとブランド」の確立を目指した。
塩釜商工会議所では、水産物など地域資源を活用して特産品開発を進める中で、地名にもなっている「塩」に着目。塩竈市内の御釜(おかま)神社に伝わる製塩の神事「藻塩焼(もしおやき)」製法にのっとった、海藻のホンダワラを用いた藻塩づくりが成功したことで、次の7つを念頭に置き、「藻塩」を核とした新商品の開発を進めた。
- 珍しいものではなく、美味しい食品を開発する
- お客様が食べ方をしっかりと理解できるようにする
- 一般消費者向けには、見た目が大切
- いろいろ種類を作って選ばせ、比べてもらうことが大切
- どこで、誰に対して売るのかをはっきりと決める
- 人と同じことをしてもだめ
- 地域資源を1つだけではなく、2種類くらい組み合わせて開発するのも良い
こうして復活させた藻塩は、他の商品と比較し、ミネラルが豊富でまろやかな塩となった。この「塩竈の藻塩」は製品化され、また、サメの軟骨の酢の物「塩竈きらら」や塩ブッセ「のりのりブッセ」、藻塩と地元酒造の酒粕を使ったジェラート「しおがまジェラー酒」など藻塩を活用した数々の製品が生み出された。さらに21年度には、特産品開発とともに、浦戸諸島に残る縄文時代の貝塚や歴史的な旧跡などを巡る「ノルディックウォーキング・海遊コース」など、「塩と海」の活用をテーマとした観光コースの開発を行った。
開発された「塩竈の藻塩」は現在、東京・池袋のアンテナショップ「宮崎ふるさとプラザ」で販売されている。また、この藻塩を活用した特産品開発は現在も事業者によって継続されており、帆立や海老の手まり寿司や笹蒲鉾などが入った「塩竈藻塩弁当~塩彩~」や「塩竈 藻塩弁当-塩結(えんむす)び」の地産地消型駅弁が2種類完成。仙台駅や東京駅などで発売されているほか、東北新幹線やまびこの一部車内で販売されるなど、開発に関わった各企業や販売店の協力により、着実に全国へ市場を広げつつある。また、塩釜商工会議所も震災による被害を受けたが、現在は復興への取り組みを第一に、特産品開発・発展にも力を注いでいる。
平成20年度 | 「~海・食・人が活きるまち 塩釜・みなとの物語~塩釜・みなとブランド構築プロジェクト」に取り組み、特産品開発を行う |
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平成21年度 | 「~塩・海 あらたな船出~しおがまルネッサンス塩釜資源活性化推進プロジェクト」に取り組み、観光開発を推進、地域資源利活用し交流人口を増やす |
平成23年度 | 9月25日 復興!全国「塩」サミットin宮城塩竈開催 |
本事業では、各特産品に「塩竈の藻塩」を使用してブランド構築し、全国にその魅力を発信、販路拡大を図る事を目的としました。売れる特産品づくりで販路を拡大し、地域経済の自立化推進を図り、小規模事業者の経営基盤の確立を大きな目標として事業を展開しました。