富士山や八ヶ岳連峰を一望でき、季節ごとに高山植物が彩る霧ヶ峰高原[1]を背にし、神秘的な湖面と豊かな恵みをもたらす諏訪湖を臨む、諏訪市。澄んだ空気と豊富に湧き出る温泉で、訪れる人々をもてなす。日本最古の諏訪神社総本社があることでも有名で、諏訪湖を挟み、南側に上社本宮(かみしゃほんみや)、上社前宮(かみしゃまえみや)があり、北側に下社春宮(しもしゃはるみや)、下社秋宮(しもしゃあきみや)がある。冬季、氷結した湖面に入る亀裂を上社から下社への「御神渡り(おみわたり)」という、亀裂の状態によってその年の吉凶を占う拝観式が行われる。
四季折々、さまざまなイベントが開催されている諏訪湖だが、圧巻なのは夏季の花火[2]である。毎年8月15日には約4万発もの花火が打ち上げられる「諏訪湖祭上花火大会」が行われ、全国からの見物客で賑わう。湖の上に咲く水上スターマインや全長2000mもの大ナイヤガラ瀑布は、諏訪でしか観ることができない名物の花火である。おすすめの絶景ポイントは、駅から車で約15分の山腹にある立石公園だ[3]。諏訪湖を一望でき、花火の時だけでなく、サンセット[4]や夜景の美しさも素晴らしく、新日本三大夜景にも選ばれている。また湖畔には多くの美術館・博物館が並び、原田泰治美術館[5]では、諏訪市出身のグラフィックデザイナー・画家である原田泰治氏の作品が展示されている。
そして、諏訪市のもうひとつの顔として知られているのが、精密機械工業が発展した町であるということだ。清涼な水と湿気の少ない気候は精密機械を扱うことに適しており、戦後、製糸業にかわり発達を遂げ、現在も先端技術を誇る工場[6]が集結していることから、「東洋のスイス」とも呼ばれている。平成24年10月には諏訪市を会場に、次世代を担う若者たちがその技術を競う「長野技能五輪・アビリンピック2012」[7]が開催される。