日本はメガネ王国だ。メガネを着用する人の数は6千万人以上におよび、色もかたちも用途もさまざまなメガネが流通している。そして、その膨大な数の国産メガネフレームの約9割が、同じ地域でつくられているというのだから、驚きだ。
メガネの日本一の生産地で世界三大産地のひとつでもある、福井県鯖江市。町を歩けば「〇〇眼鏡」「△□レンズ」といった企業の看板がすぐに見つかるこの町でメガネ産業がはじまったのは、明治末期の頃。豪雪にみまわれる冬の間にできる産業として根付き、みるみるこの町を代表する基幹産業へと発展。そして、革新的な技術力により世界初のチタンフレームを開発するなど、偉業を成し遂げるにまで至った。
鯖江産のメガネは、着け心地や耐久性など細部まで使う人の視点に立ってつくる、というものづくりの精神と、それを実現するために培われた高い技術力によって支えられている。これは、越前漆器や石田縞など、この地に古くから伝わる手仕事に共通した「鯖江らしさ」といえる。
平成21年度の鯖江商工会議所の取り組みでは、「SABAE Style」をキーワードに、3大地場産業であるメガネ・漆器・繊維の技術を生かし、現代のライフスタイルにマッチする製品をデザインし開発。大人の男を演出する粋な製品が並ぶ「男の休日」シリーズと、遊び心のある製品が中心の「余暇を楽しむ。」シリーズからなる「SABAE Style」は、現代の生活シーンに新たな彩りを与えてくれる鯖江の新ブランドだ。これらの新製品から伝統の逸品まで、鯖江の旅で出会った手仕事を紹介しよう。