このサイトは2020年3月31日まで稼働していた、feel NIPPONの活動報告サイトのアーカイブです。
2019年度までの活動報告をご覧いただけます(現在、更新はしておりません)。

隣の商工会議所

第1回 城陽商工会議所(京都府)

第1回は商工会議所の頭文字「し」で始まる城陽(じょうよう)商工会議所です。
城陽商工会議所で取り組まれている全国展開プロジェクトの内容をはじめ、城陽市の魅力などを指導課の藤井さん、花原さんにご紹介していただきます!

城陽市ならではの特徴、アピールポイントはなんでしょうか

城陽市の産業を支えている上質な地下水

城陽市は京都市と奈良市のほぼ中間に位置し、古くから交通の要衝として栄えてきたところで、両市から五里(約20km)の距離にあることから「五里五里の里」とも呼ばれています。地下には琵琶湖の水量に匹敵するほどの上質な地下水が溜め込まれていると言われ、昔から飲み水だけでなく様々な用途に活用されてきました。その代表的なものがお茶やお酒造りであり、国内生産量の約5割を誇る金銀糸も、製造工程で適度な湿度が必要であることからそのひとつと言えます。

全国展開プロジェクトでは、どのような取り組みをされているのでしょうか

地域資源である「金銀糸」を活用した「燦彩糸プロジェクト」

当会議所では、地域資源を活用した地場産業の振興事業について、積極的に取り組んで参りました。その一環として、平成20年度に全国展開プロジェクトにおいて、「金銀糸における産地型ビルトイン・ブランド構築事業」を実施しました。城陽は高級抹茶の産地であることから、その抹茶の原料である「碾茶(てんちゃ)」を活用した取り組みや、現在ではJAPANブランドにまで成長した金銀糸(きんぎんし)の「燦彩糸(さんさいし)プロジェクト」を進めています。

また近年は、経営革新計画承認や京都府元気印中小企業認定など法認定をめざす企業を、事業計画の策定から認定申請・プレゼン支援・フォローアップとハンズオン型支援に力を入れており、「何とかしたい」や「新たな取り組みを」を考えている、やる気のある地域商工業者の取り組みを積極的にバックアップしております。
金銀糸の様に「きらきら」と光輝く地域になるために、今後ももっと多くのチャレンジを続け、さらなる発展を目指して行きたいと考えております。

現在実施されている「燦彩糸プロジェクト」について、きっかけや目的についてお教えください

「金銀糸」産業の活性化を目指して、地域企業と連携

城陽の金銀糸製造の歴史は古く、江戸幕末期淀藩の下級武士の妻女の手仕事として始まり、明治時代以降、農家の副業として発展しました。特に寺田近辺は、湿気が多いことから「撚り糸」に適した土地柄といわれ、さらに大正期に入ると、撚糸機の導入によって生産量が増加したため、寺田以外でも活況を呈したと言われています。第2次世界大戦中は「奢侈品」といわれて製造が一時中断されましたが、戦後、現在の「京都金銀糸振興協同組合」が設立され、いわゆる和装産業を支える重要な素材として、業界一丸となって取り組んで参りました。

しかしその後、着物ばなれにより和装業界の低迷による国内需要が落ち込み、加えて輸出用金銀糸も単価が下がるなど、経営的に厳しさが増しているほか、技術者の高齢化や後継者難など将来に多くの課題を抱えています。さらに、自らの経営資源を客観的に評価し、独自性をアピールすることによって売り込むことに不慣れな産地にとって、新たな販路探しは今日までの延長線上の発注者探しとなり、真に販路を切り拓いていくためには、1社の力だけでは立ち行かないものでした。そこで、地域の企業群による協業という実行性のある組織を立ち上げ、新たな概念とブランド化を図ることを目的とした本プロジェクトをスタート。京都山城地域の主要地場産業である「金銀糸」の活性化の突破口を模索するべく、これまでに無い業種・業界の市場を目指しています。

「燦彩糸プロジェクト」における、過去の取り組み内容から現状までをお教えください

国内展開だけではなく、海外進出も視野に

まず、平成17年に「金銀糸資源活用プロジェクト」を本会議所内に設置し、京都府立大学の協力を得て2年間にわたり独自に取り組んできました。この結果を踏まえ、平成19年に京都府の助成を受け、金銀糸の製品化の可能性について研究するとともに、製品に求められる機能等について整理しました。さらに平成20年度には、地域力活用新事業∞全国展開プロジェクト事業を活用し、龍谷大学経済学部の佐藤教授(現・副学長)を迎え、金銀糸の新たな展開の方向性と暫定的なブランドコンセプト及びブランドネーミング(暫定ブランド「燦彩糸(さんさいし)」)を命名し、展示会にて好感を得てきたところです。

また、平成21年度、22年度はJAPANブランド(「地域の中小企-業ならではの価値」として中小企業庁が認定したブランド)事業に採択され、海外進出に向けた協業組織の基盤造り、海外進出戦略の策定および市場の調査、クリエイター向けのツール開発を行いました。この5年間の活動により、和装産業における素材としての金銀糸だけではなく、無限の広がりをもつ「光る糸」というポジショニングを獲得。クリエイティブワークにおけるデザインの新たな要素として活用され、二次製品・最終製品を誕生させるというシナリオを創出しました。

「燦彩糸プロジェクト」の今後の予定、展望をお教えください

デザイナーやクリエイターとのコラボでブランドの確立を目指す

これまでの活動により、地元業界の意識改革が進み、学識経験者、専門家との密接な連携体制も構築され、今後の事業運営の核となる組織作りの基盤も確立してきました。また、新たなターゲットであるクリエイターからの反応も上々であり、数件のコラボ先にも出会い、海外市場への進出の準備も着々と進めているところです。
今年度はこれまでの取り組みをベースにし、「本金糸」を中核に「燦彩糸」ブランドとのコラボレーション先を拡充、デザイナー・クリエイターとの試作品の共同開発をメインに、ブランドの確立を目指しています。今後は、金銀糸を中心とした地域振興を主な目的とし、地域の産業界や市民を巻き込んで様々な取り組みを行なっていく予定です。

城陽市イチオシの名所

  • 青谷梅林(あおだにばいりん)

    青谷梅林

    後醍醐天皇の皇子宗良親王の歌で詠まれたとされる歴史ある梅の名所です。毎年2~3月にかけて開催される「梅まつり」では、20haの面積に府内随一となる約1万本の白梅が咲き誇ります。

  • あらす観光いも掘り農園

    あらす観光いも掘り農園

    城陽市特産「寺田イモ」が5万株植えられた農園です。毎年9月中旬~10月末頃まで開園し、寺田イモを食べるだけでなく、自然の中で掘る楽しみを味わえます。

  • 鴨谷の滝(かもたにのたき)

    鴨谷の滝

    今でも人があまり立ち入らない、大自然が残された秘滝です。城陽市の南東部森林地帯に位置する青谷川支流の渓谷にあり、18の滝が集まっています。※京都自然200選

  • 山背古道(やましろこどう)

    山背古道

    南山城の山際に沿い、京都と奈良を結ぶ全長25kmの旧道です。城陽市、井手町、山城町、木津町の4市町が、この道をきずなとしたまちづくりをすすめています。

  • TWINKLE JOYO

    TWINKLE JOYO

    城陽市総合運動公園レクリエーションゾーン一帯を主会場にしたイルミネーション。毎年12月中に開催され、約18万人の来場者が訪れる城陽の冬の風物詩となっています。

城陽市イチオシの名物

  • あらすの里のおいもっ娘

    あらすの里のおいもっ娘

    城陽の和菓子振興会で共同開発された、スイートポテトを包み込んだような焼菓子です。

  • 梅・梅酒・梅ようかん・梅シャーベット・梅ソフトクリーム

    梅・梅酒・梅ようかん・梅シャーベット・梅ソフトクリーム

    京都府下総出荷量の半分以上を占める城陽市の梅を使ったスイーツやうまいものの数々。梅まつりのおみやげなどでも人気を誇っています。

  • お茶・碾茶(抹茶)

    鴨谷の滝

    宇治茶の産地の一つである城陽市では、約30haの茶園で抹茶のもとになる「碾茶」を年間約30tを生産しています。水はけがよく肥沃な土壌で育った、手摘みのまろやかなお茶は、全国の茶品評会でも農林水産大臣賞を受賞するなど、高い評価を受けています。

  • いちじく

    いちじく

    城陽市では、年間4500tのいちじくを出荷。水分、甘みが強い品種を中心に、都内の有名果実専門店などでも扱われています。

  • 寺田いも

    寺田いも

    荒州の砂質の土壌で育てられた、栗のようにホクホクとした芋。大きく甘みがあり「9里4里うまい13里」とも呼ばれ、地元の人々に愛されています。

最後にメッセージをお願いします

一緒に商品開発できるパートナーを募集中!

現在、この高貴で非常に希少価値の高い素材である光の糸「燦彩糸」と一緒に、商品開発していただけるデザイナーやクリエイター等のコラボパートナーを募集しています。歴史的背景に裏付けされたこの素材を使えば、アイテムの付加価値をぐっと上げることが可能です。これまで、あまり広く出回る事のなかった素材をより多くの方に知っていただくことも、プロジェクトの大きな使命であると思っています。

さらに今年度は、年度途中に燦彩糸プロジェクトから独立した協議会「京山城燦彩糸協議会」を立ち上げました。近い将来、この協議会がプロジェクトの取り組みを継承し、独立した事業体となる夢を描いています。そして「燦彩糸」が地場産業を再び活性化し、JAPANブランドとして大きく成長することを期待しています。

城陽商工会議所

〒610-0196 京都府城陽市富野久保田1-1

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