急拡大するインバウンド市場をターゲットにした展示会に「技のヒット甲子園」初出展
日本商工会議所とトレンド情報誌「日経トレンディ」ならびに「日経クロストレンド」は、幕張メッセ 国際展示場で開催された「インバウンドマーケットEXPO 2020」に第8回目となるコラボイベント、展示商談会「技のヒット甲子園@インバウンドマーケットEXPO 2020」を出展。
2020年2月18日(火)~21日(金)の4日間に渡り、訪日外国人向けの商材を扱う商社やバイヤーに対し、feel NIPPON事業をきっかけに生まれた日本の伝統工芸品などをアピールした。
4日間で商社やバイヤーなど4万人超が来場
幕張メッセ 国際展示場で開催された「インバウンドマーケットEXPO 2020」は、インバウンド市場と地方創生を目的とした商材やサービスが集まる国内最大級の展示会。
今回は約86社、93ブースが出展。
4日間の期間中、4万人を超える来場者を集めた。
訪日外国人向けの商材を扱う商社やバイヤーのほか、旅行代理店、宿泊業など、インバウンドに関連する関係者らが来場。
インバウンド関連の展示会へ展示商談会「技のヒット甲子園」を出展するのは、今回が初の試み。
今後の需要拡大が見込まれるインバウンド市場において、feel NIPPON事業をきっかけに生まれた商品をアピールする貴重な機会となった。
インバウンドを意識した明確な狙いを持って参加
「技のヒット甲子園@インバウンドマーケットEXPO 2020」に参加したのは、全国7商工会議所から13事業者。
今回はインバウンド向け展示会ということもあり、参加した事業者らは「伝統の技」や「おもてなし」といった「和」のイメージを強調したり、訪日外国人の興味と関心を惹きそうな商品を前面に打ち出したりと提案方法や商品陳列を工夫。
試行錯誤ながらも新規販路の開拓と拡大に向けて意欲的に取り組んでいた。
富山県高岡市の株式会社四津井では、プラチナ箔と金箔をあしらった鉄瓶を主軸に商品をアピール。
「鉄瓶はもともとインバウンド人気の高い商品。日本の伝統技術とおもてなしの心を伝えることができる商品として、中国の富裕層向けに提案していきたい」と、明確な狙いと意図を持って参加していた。
同じく高岡市内の大越工芸製造株式会社は、金箔技術を使った湯呑みやぐい呑みといった工芸品を出展。
そのなかでも「純銀湯呑み」は今年1月に発表したばかり。
「日本の伝統技術から生まれた高級酒器として、海外の日本酒ブームを追い風に提案したい」とし、インバウンドに対しどれだけのインパクトがあるのか情報収集にも努めたいとの考えだった。
三重県四日市市から参加した萬古焼の窯元である有限会社藤総製陶所は、「技のヒット甲子園@日本百貨店」(2020年1月24日~2月2日)に続いて参加。
国内の展示会では「ひとしずく 茶器セット」をメインに打ち出しているが、今回はカラーバリエーションを揃えたり、穴の大きさを変えることによってお茶だけではなくドレッシング用としての利用を提案したりと、インバウンド向けを意識。
そのうえで「海外では日本よりもIH調理が普及している。その点を踏まえ、今回の展示会ではIH、直火、電子レンジでも使える焙烙も強くアピールしていきたい」と、高度な日本の伝統技術を訴求していくとしていた。
「和」を印象づける技術とデザイン性をアピール
「和」の雰囲気を強く印象づけたのが、静岡県袋井市の株式会社石亀石材店と、エクステリアなどを手がける株式会社スズトヨのコラボ。
老舗石材店による石灯籠をイメージした室内照明「石灯り」は、和の雰囲気を醸し出すインテリアとしてインパクトを残していた。
また、スズトヨでは住宅用発泡材を使った、きのこ型ペットハウスを展示。
目を惹く出展品に多くの来場者が足を止めていた。
もうひとつ「和」のイメージを鮮烈に残したのが、広島県府中市から参加したニッコーオートメーション株式会社の「装い上手 水引カラーボタンカバー」。
日本の伝統的文様である水引のデザインをあしらったボタンカバーやラベルピンは、パステルカラーもあってカラフルそのもの。
「インバウンド向けの展示会ということもあり、国内向けの展示会よりもカラーバリエーションを揃えた」としつつも、伝統的文様のデザイン性を損なうことなく、水引という「和」が醸し出す美しさを強くアピールしていた。
デザインにこだわった「技」をアピールしたい、と臨むのは、群馬県桐生市から参加した村田刺繍所。
出展した「ボタニカル刺繍ネックレス」は、立体刺繍のアクセサリーで、水に溶ける特殊な布地に刺繍を施したあと、布地を溶かすことで立体的な形を作り出すというもの。
今回はネックレスのほかにもブレスレット、ピアス、イヤリングなど、多数の品を揃えた。
インバウンドが多く訪れるアクセサリー専門店に向けてアピールしたいとの意気込みだった。
特徴的だった参加事業者の攻めの姿勢
前記の有限会社藤総製陶所と同じく「技のヒット甲子園@日本百貨店」に続いて参加したのが、群馬県桐生市の大橋メリヤスと福井県鯖江市の株式会社乾レンズ。
大橋メリヤスでは、「リネンシルク3色スヌード」によって、「ストール社製のメリヤス機だからできる質感」をアピールしつつ、今回はインバウンド向けにオリジナリティある図柄提案を訴求。
フェルメールやゴッホの名画をマフラーやコサージュに取り入れてきた技術力やデザイン力の実績を見本に、「訪日外国人が訪れる観光地の風景画などを作成し、オーダーメイドで一枚から提供できる」という提案を掲げ、ホテルや旅館といった宿泊業やお土産店へのルートを持つバイヤーとの出会いに期待していた。
乾レンズではインバウンド向け展示会への初出展であることを踏まえ、「4日間を有効に使いたい」「初日は来場者がなにを求めているのかを見極め、数ある商品から訴求力の高いものを提案していきたい」とした。
そのうえで、通常の展示会であれば主軸に置いている「オールタイムサングラス」よりも、ノベルティとして「贈り物ルーペ」を訴求する戦略を練っていた。
今回の「技のヒット甲子園@インバウンドマーケットEXPO 2020」で特徴的だったのが、参加事業者の攻めの姿勢。
積極的な情報収集と合わせて、成長著しいインバウンド市場をターゲットにした商品選びやアピール方法などに様々な工夫を凝らしていた。
また、事業者のなかには海外への訴求力が高い商品があることから、さらなる先を見据えて、「日本から海外への販路を開拓するきっかけにしたい」という声もあった。
展示商談会「技のヒット甲子園@インバウンドマーケットEXPO 2020」に参加した13事業者は、今回の出展で得た成果と自信、そして課題を地元に持ち帰り、次なる機会に向けてのブラッシュアップにつなげていく。