朝霧高原の景観保全のため、利用されていない土地に植えられた菊芋。一面の黄色が富士の景観をいっそう際立たせる。また、菊芋を使った食品も開発、富士宮の新名物に育てる。
取り組み内容
富士宮北部に位置する朝霧高原は、富士の景観に恵まれた酪農地として発展してきたが、近年、酪農家の減少に伴い酪農放棄地が増えている。本事業では、その未活用の雄大な土地を地域資源として活用。古くから健康によい野菜として知られ、戦後の食糧難の時代に重宝されていた菊芋の育成をスタートさせ、新たな特産品として全国に発信することを目標にした。
菊芋は、秋にいっせいに黄色い花を咲かせるため、「黄色い花が大地を染め上げその背景に富士山を望む」という絶景スポットが新たな観光資源になることも想定し、朝霧高原で菊芋を育てる計画を開始した。そして、収穫した菊芋で試作品開発に取り組んだところ、旬が短く生の状態での保存が難しいことがわかり、粉末加工での開発を進め今回は「健康食材」としての開発に絞り込んだ。結果、粉末にした菊芋をコーヒーやお茶に混ぜたり、カレーや焼そばにかけて食べる「菊芋パウダー」と、朝霧高原産菊芋と富士宮産煎茶をブレンドしたティーバッグ「菊芋茶」の2品の試作が完成。7回に及ぶ試食会を経て改良を重ね、商品化が実現した。
健康面でも注目される菊芋
天然オリゴ糖の一種「イヌリン」を多く含む菊芋には、高血糖や高血圧に有効な働きが期待されている。開発品の発表会でも成分や効能についての関心は高く、アンケート回答者の半数近くが「購入したい」と回答した。
生産量を確保し、加工品としての可能性を探る
イベントなどを通じ、菊芋の認知度は高まった。また、商談会では来場者からの問い合わせが多く、健康・機能食材としての注目度は高い。まだ生産量が限られているため、今回は菊芋パウダー、菊芋茶の開発にとどまったが、今後はさまざまな加工品開発の可能性を探っていく。生産量の確保と品質維持に努めながら、一方で花の開花シーズンには朝霧高原が観光スポットになるよう、広報活動にも注力する。
活用した地域資源
朝霧高原、菊芋の花・茎・根茎(こんけい)
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富士宮商工会議所
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