市民活動で回収されたペットボトルのキャップを再生することで生まれるエコプラスチックを原材料にした工業製品ブランドを創出。自動車製品産業への一極化からの脱却も期待される。
回収したペットボトルキャップを材料に、豊かな発色を実現する「ユメプラスチック」
環境に配慮した工業製品の地域ブランド創出
安城市は高度なものづくり技術を有する反面、大手自動車メーカーに依存するが故に、世界同時不況やトヨタショックによる影響は大きく、今後も円高や原材料の高騰等によって産業全体がマイナス成長に向かう懸念もある。また、電気自動車へのシフト化で制作部品点数が減少し、自動車部品製造業者、とりわけ中小製造業者は影響を受けることが予想される。このような状況の中、中小のものづくり事業者が、最終製品を自ら企画・製造していくことで、自動車メーカーを頂点とした縦型の産業構造のみに依存しない「脱・クルマ依存」を実現できると考える。
伝統工芸ではない、量産型工業製品による地域ブランドは全国でも事例が極めて少ないため、物語性を持たせることが必要であるが、安城市は環境首都コンテストで第3位に位置する環境都市であり、ペットボトルキャップを月間500万個以上回収しているため、このような環境配慮の行政ビジョンとキャップ再生材、そして製造技術力を駆使し、環境とヒトに優しい量産型工業製品による地域ブランドを創出した。
「世界初」をコンセプトにした製品開発
伝統工芸でない工業製品の地域ブランド化や、リサイクル活動という無形物を産業資源化する取組みは他地域にはなく、さらに世界初のコンセプトを持った製品やプロジェクトを展開することで、高付加価値高価格販売戦略を採っている。また、回収したペットボトルキャップをもとに、豊かな発色を実現する「ユメプラスチック」(平成23年11月付で地域産業資源として国に認定)を開発。さらにハイブリットロケット燃料の開発や、キャップで絵を描くための世界初の専用ツール「キャップアートパネル」、完全オーダーメイドのプラモデルノベルティ「きゃぷらも」等の製品・プロジェクトを生み出した。
「きゃぷらも」は、二次元のイラストを三次元化している珍しさもあることから、必ず手に取っていただけるPRグッズとして商品展開が期待できる。
現在は、地元J1クラブチームである名古屋グランパスエイトとの共同商品開発を進めている。また、工業製品の製造には金型製作とその所有が必要であるため、AnjoHeartsPROJECTの法人化の他、優れたアイデアを提案できる内部システムの設置等、アイデアデータベースの構築が必要である。
活用した地域資源
ペットボトルキャップから再生される「ユメプラスチック(日本発のリサイクル材による地域産業資源として認定 ※具体的な物質名はポリプロピレン)
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