琉球王都発祥の地、沖縄県浦添市。現代においては「国立劇場おきなわ」が立地する地域として、今も伝統芸能が息づく都市である。しかしながら、これまで歴史文化資源に関連した土産品がなく、歴史的背景を活かしきれないことが観光振興の課題となっていた。そこで浦添商工会議所では、歴史的背景や市の名産品を新たな歴史資源・観光資源として活用し、歴史文化の調査研究を通して、ストーリーの再構築を行うこととした。市場・消費者、浦添市民のニーズ、市内菓子製造業・貸製造小売業の実態調査を中心に実施し、綿密な計画を立てて意見交換会などを行うことで、土産品の創出を目指した。
アンケートなどの調査を行った結果、浦添らしさのある「土産菓子」開発への要望が多くを占めた。そこで、地域にどのような素材が観光土産品として開発出来るのかを探るべく、関係者・専門家を委嘱し、委員会を立ち上げて取り組んだ。まず、市内菓子製造小売事業者の土産品開発に関する興味が低かったため、調査研究事業の趣旨説明を兼ねた懇談会を開催し、意識向上を図るなど工夫した。さらに、パネルディスカッションを開催し、関係者による土産品開発や地域ブランドづくりへの意識を高めてもらうなどの演出を行った。一方、菓子の材料となるような特徴ある地域資源がなく、菓子づくりのイメージ創出に苦労したため、浦添の歴史・文化などを全面に押し出したパッケージづくりを先行させた。併せて、地元で親しまれていた菓子「てだこ焼き」の改良も決定した。
平成22年度の調査研究でニーズや進むべき方向性が把握できたため、パッケージデザインの統一と新たな土産品の開発、「てだこ焼き」の復活の3テーマに絞り込み、試作品開発を検討することになった。最終的に、市内の菓子製造販売事業者8社で構成する、「土産品開発部会」を発足。すでに伝承が途絶えていた「てだこ焼き」を現代風に蘇らせた「桑の光」ほか、「浦添桑菓撰(そうかせん)」と名付けられた浦添産の島桑を使用した、サブレやダックワーズなど新たな銘菓9種が完成した。記者発表会を通じて、地域やマスコミに広くアピールし、平成23年11月に開催された「沖縄の産業まつり」に出展。現在は、浦添市役所地下売店や、参画した各店舗などで販売を行なっている。
平成16年度 | 観光・サービス業部会にて、浦添の歴史資源を活かした土産品開発に取り組んだもののテーマを絞り込めず、一旦プロジェクトを中断 |
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平成22年度 | 前回の反省を活かして関係者や専門家を委嘱し、委員会設立。開発に関する一定の方向性が決定 |
平成23年度 | 「土産品開発部会」を発足、新銘菓が完成した。10月には「浦添桑菓撰」開発販売記者発表会を行い、11月「沖縄の産業まつり」に出展・販売 |
平成22年度は、調査研究事業だったため、試作品開発を行いませんでした。しかしその後、市内の事業者により「土産品開発部会」が発足し、商品が開発されました。今後はこれらの商品を全国に展開、情報を発信していくことが、地域のPRや開発者のノウハウ向上に寄与し、意義あることだと考え、引き続き、推進していきたいと考えています。