「ジオパーク(Geopark)」とは、「大地の公園」を意味し、公式に使用したのは糸魚川が世界初といわれている。豊富な地質資源を持つ魅力的な土地を地域振興に役立てられないかという考えから、文化や歴史を学ぶ博物館だけではなく、親不知[１]や小滝川ヒスイ峡[２]、不動滝[３]のような圧倒される絶景、そこに生息する動物や植物、自然からの恵みを"まるごと体験できる"をコンセプトにした取り組みは、まさに特殊な地質を持つ糸魚川にぴったりだった。
平成19年より、ユネスコが支援する活動「世界ジオパーク」への認定にむけた取り組みを本格的にスタート。各省庁へ呼びかけ、翌年には審査機関となる「日本ジオパーク委員会」が、独立行政法人産業技術総合研究所を事務局として発足。そして糸魚川市民の会らの熱い支援も受ける中、平成21年８月「糸魚川ジオパーク」は、日本で最初の世界認定を受けた。
24にも及ぶジオサイト（地形や特色を観察できるスポット）はそれぞれ幅広い楽しみを網羅しており、さらにテーマ別にも「ヒスイ」「雄大な自然」「歴史・文化」「登山道」など複数のモデルコースがあり、知的好奇心を十分に満たしてくれる。

世界認定を受けたことをきっかけとして、糸魚川の知名度をより高め、地域の人々にもその価値をあらためて認識してもらおうと、平成23年度に「日本初！世界認定　糸魚川ジオパーク着地型観光開発プロジェクト」がスタートした。
着地型の旅行商品の開発を目的として、糸魚川世界ジオパークが持つ自然、食、歴史文化などの魅力を「写真を撮る」「旅をする」をコンセプトに、２つのモニター事業を10～11月に実施した。１つ目は、訪れる人の目的や好きな分野など多目的に応えられるようなツアーのさらなる整備が急務であったことから、10月に紅葉の「赤」[４]、ヒスイの「青」[５]をテーマにしたモニターツアーを企画。参加者からは「ジオパークを通じて糸魚川を知るきっかけとなりました。春や夏など、違う季節にもまた来てみたいです」「２日間で11のスポットを巡ったため、とても充実した内容だった反面、もう少しじっくりと見学したいスポットもありました。次回もし参加した際には、あらためてゆっくり見てみたいです」など、リピーターに繋がるような意見を多数いただいた。２つ目は、糸魚川市内の地域資源を発掘・整理する手法として、糸魚川ジオパークの魅力を５つの色で表現する「撮るたび」フォトコンテストを開催。市内外から164点の応募があり、地元の住民でも気づかなかった、糸魚川の魅力を新しい視点から写した入賞作品は大きな反響を呼んでいる。

また、ジオパークをより良く知ってもらうために「糸魚川ジオパーク検定」をこれまでに３回開催した。合格者には得点に応じて「初級」「上級」「達人級」の称号が与えられ、市内の飲食店等でサービスが受けられる特典をつけることで、地元との連携を強め、集客などの効果を上げている。
他にも、子供たちに向けては、糸魚川市の貴重な地質遺産及び歴史・文化・自然などを総合的に学ぶ「糸魚川ジオ学」を推進。学ぶ楽しさを知ってもらうためのガイドブック作成や、学芸員の出張講座、体験学習も行い、教育という長いスパンでの取り組みも続けている。

今後の課題としては、平成26年度末の北陸新幹線開業までに、訪れた人がより気軽に観光できるような環境、目玉になるような特産品を開発し、糸魚川の根強いファンが増えることを目指している。

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