プロの業者による具体案を作成中
2008年に、県庁所在地以外で初めて全国菓子大博覧会が開催された姫路市。4/18~5/11の開催期間中に92万人もの人が来場、盛況に終わったことを受け、姫路商工会議所が中心となり、知名度で姫路城に並ぶ特産品となりうるお菓子の開発を進めている。プロジェクトでは、ほとんどのお菓子に使用される砂糖をさとうきびの栽培から手がけることで、農業関係者と菓子関係業者の連携を高めるとともに、農業体験などで学生の関心も高め、地域全体を盛り上げることを目指す。お菓子の開発は、学生と菓子関係業者によるものの2つの視点で行っており、既に、『兵庫県立大学経営学部』と『みかしほ学園日本調理製菓専門学校』の学生が共同制作した7つの試作品が完成している。今後、プロジェクト参画事業者は、学生の試作品が商品化できるかどうかを検証しながら、プロの視点でまったく違った試作品の開発も検討していく。
学生が開発した7つの試作品。姫路城を現在の姿に改築したことで知られる池田輝政が使った、竹の水筒をイメージした抹茶味のロールケーキ(右手前)などがある
『兵庫県立大学』
當間克雄(とうまかつお)さん
「学生とはいえ経営学部ですので、商品の企画から、ネーミング、コスト計算まで実際の商品開発を想定して作業を進めていきました」。パワーポイントでまとめた報告書をブラッシュアップして、『みかしほ学園』側に調理の依頼をするなど、かなり本格的だったようだ。「今回は、新たな地域の特産品となる商品を開発するのが目的だったため、学生たちは姫路の歴史を研究するなど、姫路らしさを打ち出すのに苦労したようです。ただ、こういった経験が自分たちの住む町に興味を持つ、良いきっかけになったのではないかと思います」。苦労の甲斐あって7品の試作品が完成。既に試食会も行われており、どの試作品も好評を得た。今後、菓子関係事業者との連携により、商品化への可能性を探る。
企画資料をブラッシュアップするための報告会
両校の学生たちによる合同検討会も行われた
『みかしほ学園日本調理製菓専門学校』
水野博(みずのひろし)さん
「実際には調理だけでなく、兵庫県立大学の学生たちのイメージを具現化するために、材料や調理法などの提案もかなりしました」。なかには、手に入らない材料を使いたいという指示などもあり、代替案を出すのにも苦労したとのこと。残念ながら試食会に出されなかった試作品も多数ある。「お菓子で牡丹の花の形を作りたいという注文に応えるために、わざわざ精巧な型まで作ったものもありました」。だが、大変な作業であったにもかかわらず、学生たちの多くは一連の作業を楽しんだようだ。お互いにアイデアを出し合い、完成したものを第三者に試食してもらって感想を聞く。そんなやりとりが新鮮だったようだ。このようなコミュニケーションが大きく発展することで、地域の活性化にも繋がっていくのかもしれない。
アイデアを形にしていく作業は真剣そのもの
試食会では学生たちが自ら客の意見を聞いた
『姫路菓子同業組合』
天野治(あまのおさむ)さん
プロジェクトの発端と今後の展開
「姫路には、幕末の天保の大飢饉の頃に、当時としては付加価値が高かったさとうきびの栽培が奨励された歴史があります。それ以来、茶の湯の文化とともに駄菓子などの菓子文化が根付いてきました。今後は、昭和の中期にいったん途絶えてしまったさとうきびの栽培を安定的に行うことを目指し、試作品の商品化時に取り入れていく予定です。2010年2/2(火)~5(金)には『東京インターナショナル・ギフト・ショー 春2010』に出展するので是非ご来場ください」
JR東京駅から東海道・山陽新幹線でJR姫路駅へ【所要時間:約200分】
◎新大阪駅からJR新大阪駅から山陽新幹線でJR姫路駅へ【所要時間:約35分】
◎神戸駅から国道28号線を経て、阪神高速31号神戸山手線へ、山陽道の表示を右方向へ進み神戸淡路鳴門自動車道を経て、山陽自動車道へ、山陽姫路東ICで降りて、国道372号線を経て姫路市内へ