2.三陸東沖などで漁獲、船上で冷凍されたカツオが焼津漁港に集まる
3.「鰹ちゃ」はお茶のような感覚で楽しめる
4.鰹と深層水で作った調味料「鰹魚醤ペースト」(500円)
飲みたい時にさっと作って一服できる、おすましのようなお茶
北に遠洋漁業の焼津港、南に沿岸・沖合漁業中心の小川港を有する焼津市は、水揚げ高全国2位の水産業の町だ。なかでも、特産品であるカツオの水揚げ量は日本一で、カツオ加工食品も全国的に大きなシェアを占めている。平成20年には、焼津商工会議所が中心となり、カツオと、同じく特産品のマグロを使った新商品の開発に乗り出した。そこで開発されたカツオ加工食品「鰹ちゃ」が、今年5月に発売。特産品のカツオと「鰹ちゃ」の魅力を聞いた。
「カツオの水揚げ量は、年間約12万t。三陸東沖や太平洋中南、マーシャル・ミクロネシア水域などで、竿で釣り上げる『一本釣り』と『まき網』という漁法で獲られています」と焼津漁業協同組合の金原利之さん。続けて、「中でも、生きたままブライン溶液(濃い塩水)で急速冷凍する『一本釣りカツオ』は、魚体に傷がなく、鮮度と品質が高いと評価を得ています。東京にも関西にも近いという焼津の立地のよさが加工業者を集中させ、その結果、多くの良質な一本釣りカツオが焼津港に運ばれるようになりました」と、焼津のカツオの魅力をたっぷり語ってくれた。
こうして焼津に水揚げされた良質なカツオが、全国の食卓へと運ばれていくわけだが、近年は原魚の世界的漁獲競争や減船、漁獲制限などで、水産業を取り巻く環境が厳しくなっているようだ。そこで、カツオ加工食品「鰹ちゃ」の開発プロジェクトが立ち上がった。手がけたのは同市の鰹節の老舗「ちきり清水商店」。同社の鈴木数男さんによると「地場産業を活性化させる目的で、カツオ加工品である『焼津鰹節』を使った商品開発に取り組みました。そこで誕生したのが、焼津鰹節(枯節)に醤油調味料顆粒を加え、テトラパックに入れた『鰹ちゃ』です」とのこと。また、味については「カツオだしのよい香りがする、おすましのような味」と語る。すでに今年の5月から同社の通販サイトで販売(3.2g×10袋入/1050円)されており、消費者からの評価もまずまずだ。
鰹節をインスタントのお茶として飲むという、新しい発想の『鰹ちゃ』は、完成品こそおすましのような和風味だが、開発スタート時はほかの味も検討されたという。「醤油味の和風か、コンソメ味など動物系の洋風・中華風にするのか、味のベースに悩みました。ただ今回は、コーヒーカップなどでお茶のような感覚で自分が飲みたい時に1人分だけ作って飲める、という新しい試みだったので、まずは日本人なら誰でも受け入れられる和風の醤油味から始めることにしました」(鈴木さん)。
その構想は当たり、今年の春にビックサイトで行った試食会での評判も良好だった。「3500人のお客様に試飲をしてもらいましたが、よい評価をいただきました。また、『ご飯にかけてお茶漬け感覚で食べたい』『うどんやそばなどのスープにもよさそう』などの意見もいただきましたね。このように消費者が色々考えて応用できるのも、日本人に親しみのある和風味にしたからでしょうね」(鈴木さん)。
「鰹ちゃ」は、まだ発売されたばかり。焼津の水産業の一端を担う特産品になれるかどうかは、今後の普及活動と消費者の評価次第だ。テトラパック入りのインスタントで、現在の食卓事情にもマッチしている商品なだけに、是非とも軌道にのせて、洋風や中華風へも取り組んでもらいたい。
焼津をもっと楽しむ! ここに立ち寄りたい!
焼津さかなセンター
焼津港と小川港で水揚げされた魚介類や加工品が購入できる巨大市場。敷地内の大食堂では、焼津グルメの「カツオタタキ定食」(1400円)や「中トロ鉄火丼」(2500円)など、海鮮料理が楽しめる。
営業:9:00〜17:00(食堂は10:00〜16:00、土曜・日曜・祝日は〜16:30)
休み:無休 駐車場:600台(無料)
HP:公式サイト
焼津漁業資料館
焼津漁業の形成と発展を現代に伝える資料館。江戸時代などの貴重な文献や木製の沿岸小型漁船、明治末期の漁民の家再現展示などから、当時の漁民の生活風景も垣間見ることができる。
(焼津漁業協同組合) 営業:9:00〜16:00 休み:日曜・祝日(※土曜は休館となる場合あり) 入館料:市内在住者無料、一般大人300円、小・中学生100円、小学生未満無料
駐車場:なし(受付にて確認) HP:公式サイト
焼津 浜食堂
(カネオト石橋商店)
明治35年創業の水産加工業の老舗が工場の2階に開いた食堂。「海鮮丼セット」(1050円)や同社の加工品が食べられる。また、1階で量り売りする自家製の「かつお塩辛」(180g入/500円)も人気だ。
焼津さかな工房
東名高速道路の日本坂上りのパーキングエリア。焼津の魚介類や水産加工品、銘菓、お土産などの販売所と、「焼津2色丼」(800円)が食べられる魚仲買人組合直営のお食事処などが入っている。
◎東京駅から
JR東京駅から東海道新幹線にてJR静岡駅へ、JR東海道本線に乗り換えJR焼津駅へ
◎大阪駅から
新大阪駅から東海道新幹線にてJR静岡駅へ、JR東海道本線に乗り換えJR焼津駅へ
◎静岡駅から
JR静岡駅からJR東海道本線にてJR焼津駅へ
◎東京駅から
首都都心環状線、首都3号渋谷線を経て東名高速道路へ、焼津ICで降りて、焼津市内へ
◎大阪駅から
名神高速道路、新名神高速道路、東名阪自動車道、伊勢湾岸自動車道を経て東名高速道路へ、焼津ICで降りて、焼津市内へ
◎静岡駅から
用宗街道、国道150号線などを経て焼津市内へ