道産食材のさらなる地位向上へ!
北海道には魚介から農産物まで、豊かな自然環境で育つ様々な食材がある。なかでも近年は、北海道農業研究センターが開発した『ゆきのめぐみ』が話題になるなど、米の品種改良が進んでいる。さらに国内では小麦の輸入率が高いことなども踏まえ、札幌商工会議所では21年度のプロジェクトとして、道産米の米粉を使った新商品の開発に取り組んでいる。現在作成中の試作品は、巨大胚芽米『ゆきのめぐみ』の米粉を使ったパンの『コメフル』、米粉を生地に練りこんだ老舗名物『月寒あんぱん』など、新たな主食にもなりうるラインナップ。現在、北海道の食材や食の歴史についての知識を持つ「北海道フードマイスター」の意見を聞きながら、試作品の改良も検討中だ。食料自給率が200%という北海道の食の豊かさを生かし、今後、国内全体の食料自給率向上の可能性を秘めた壮大なプロジェクトとなっている。
右上から時計回りに『コメフル』『月寒あんぱん(右)』『月寒まんじゅう(左)』『米っこロール(上)』『こめ丸(下)』『北海道めぐみラーメン』とバリエーション豊富
『シロクマ・北海食品』
荒川伸夫(あらかわのぶお)さん
『ゆきのめぐみ』は寒冷地の生育に適した品種
『シロクマ・北海道食品』は、もともと食の安全や地産地消に対する意識が高く、8年ほど前から米粉を使用したバターロールや食パンを製造するなど、今回のプロジェクトに最適な事業者だ。「開発した『コメフル』は超健康指向のパンです。胚芽の大きさが通常の米の2倍もある品種『ゆきのめぐみ』の発芽玄米を米粉にしているのが最大の特徴で、ビタミンEやギャバなど健康に良いとされる成分が豊富に含まれています」。食べてみると米粉らしいもちもちした食感がありながら、独特のくせがない。「わずかに残ってしまうぬかのような風味は、レモンピールやクランベリーなどのドライフルーツを生地に練り込んで解消しています」。米粉を長年扱ってきた経験を生かし、万人に受け入れられるように作られた技ありの一品だ。
『ほんま』
本間幹英(ほんまみきふさ)さん
試食会では老舗の新作に注目が集まった
創業以来変わらない製法を守ってきた和洋菓子の『ほんま』。米粉を取り入れた新商品開発は5代目の本間幹英さんによる画期的な取り組みだ。「健康指向の高まりから、米粉には数年前から関心がありました」。生地に米粉を練り込んだのは、定番の『月寒あんぱん』と『月寒まんじゅう』。どちらも十勝産小豆のこしあんを使用する昔懐かしい味わい。シンプルな製法だけに、わずかな食感の違いにまでこだわってきた商品だ。「米粉を使用すると小麦だけよりもやや食感が増します。小麦との配合比をうまく調整しないと焼き上がった時に表面が割れてしまうこともあったりして、納得のいくものに仕上がるまで何度も試作を繰り返しました」。老舗が自身を持って打ち出すだけあって完成度は非常に高い。
札幌商工会議所
田辺敦(たなべあつし)さん
プロジェクトの発端と今後の展開
「北海道の食材の豊富さを広めるため、近年、徐々に注目が高まっている米粉、そして20年度の取り組みで開発した大豆の商品も合わせて、北海道ブランドとして広めていきたいです。米粉の試作品はいずれも完成度が高いので、2010年春には商品化する予定で準備を進めています。2010年は、2/2(火)~5(金)の『東京インターナショナル・ギフト・ショー 春2010』ほか、地元札幌での催事も含めて多数の物産展に出展していきます」
羽田空港から飛行機で新千歳空港へ、JR快速エアポートライナーに乗り換えJR札幌駅へ
【所要時間:約150分】
伊丹空港から飛行機で新千歳空港へ、JR快速エアポートライナーに乗り換えJR札幌駅へ
【所要時間:約170分】