地域間連携コレボレーション
株式会社JTB総合研究所主任研究員 斎藤薫 氏
株式会社JTB総合研究所研究員 中川晶子 氏
株式会社リビング・デザインセンタープロデューサー 安藤幸子 氏
「食」「技」「旅」それぞれの分野について、異なる地域の商品がコラボレーションした本企画。
商品の新しい使い途や販路を提案するだけではなく、異なる地域が手を組むことで、地域という枠を超えた大きな可能性が広がる、新しい発見となった。
食
株式会社JTB総合研究所主任研究員 斎藤 薫 氏
- コンセプトを教えて下さい。
地域間コラボレーションは今回はじめての企画ですが、良い商品同士をつなぐことで、さらなる相乗効果が期待できるのではと、あるテーマを決めて連携させています。そのテーマは、ずばり「和食」です。各地域の多様な食文化が表れているのが和食の特徴なので、様々な地域の開発商品を紹介するのにとても良い切り口となりました。
和に関係した商品は、単独では地味なものが多いため、お店でも埋もれてしまいがちです。しかし、和食というコンセプトのもとで見てもらうと、来場者の注目が集まり、商品が持つ良さを引き出すことができるのではないかと考えました。- コラボレーションを考えるときのポイントは?
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シンプルで素材に近い商品の方が、他地域とコラボレーションしやすいと思います。
また、何かテーマを設けることで、来場者やバイヤーさんにとっても利用シーンが想像しやすくなります。 - 地域間コラボレーションの今後の可能性は?
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一つの地域だけでは資源やアイデアは限られてしまいますが、他地域との関わりで様々な気付きが得られるのも大きな可能性だと思います。
今回も、コラボ対象の商品だけをとりあげるのではなく、開発商品の素材も一緒に紹介することで、さらに他地域とのコラボレーションの可能性を発見してもらえるような工夫をしてみました。まだ始まったばかりのプロジェクトですが、これを機に新たな展開や広がりができればと思います
技
株式会社リビング・デザインセンタープロデューサー 安藤幸子 氏
- コンセプトを教えて下さい。
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「find out~見つける・発見~」をキーワードにしました。そして、「kawaii」「new way」「combination」という3つの視点から考え、地域の商品を融合させました。
・「kawaii」・・・世界でも注目されている、日本の「カワイイ」をテーマに、女子の行動力やモノを見つける能力に期待して、商品を提案しています。
・「new way」・・・商品を融合させることで、新しい価値や使い方を見出しました。
・「combination」・・・既存商品同士を組み合わせることで、新しいライフスタイルを提案しています。
日本の「技」が素晴らしいということを、今までと違った視点で見ることで、新しい商品・使い手・販路を見つけられるのではないかと考えています。 - コラボレーションを考えるときのポイントは?
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商品の掛けあわせに無理があっては、コラボレーションをする意味がないと考えています。互いの良い所を引き出す、相性の良いものを探すことが大切だと思い、コラボレーションすること自体が目的になってしまわないように気をつけました。
- 地域間コラボレーションの今後の可能性は?
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色々な技術と良い素材が各地にあるので、じっくり時間をかけて作れば良いモノができると思います。まだ始まったばかりなので、バイヤーやメディア関係者、感度の高い消費者など、まずは発信力のある人に見ていただくことが今後につながっていくのではないでしょうか。これから、新しい一歩を進んでいけたらと思います。
旅
株式会社JTB総合研究所主任研究員 斉藤 薫 氏
- コンセプトを教えて下さい。
今回は、北海道を舞台にした「ホワイトビューティーツアー」と各地にゆかりのある武将が愛した戦国飯(せんごくめし)をテーマにした「ご当地自慢合戦」の、2つのコラボレーションを行いました。
ホワイトビューティーツアーは、札幌商工会議所が力を入れている北海道の独自エステやコスメと、帯広商工会議所で力を入れている「癒しの地ツアー」を掛けあわせています。ホワイトビューティーエステを癒しの地で受けることで、満足度が一層高まり新しい価値が生まれるコースとなっています。また、ご当地自慢合戦では、通常なら各商工会議所や観光協会が地域の観光資源の魅力を単体でアピールするところを、「戦国飯」というテーマで横串に指すことで、プロモーションの相乗効果を狙いました。- コラボレーションを考えるときのポイントは?
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最近の旅行者の傾向から、ニーズの高い「癒し」や、人気の「歴史」に焦点を当てています。そして、ただ行程を伝えるだけではなく、「北海道に行くことで癒しや美しさを手に入れられる」「歴史を切り口に食や地域の魅力が深く知れる」 ことを意識して企画を進めました。このように、消費者が求めていることをテーマに設定して、旅先で価値を感じて満足している姿を具体的にイメージしてもらえるように進めていくのがよいと思います。
- 地域間コラボレーションの今後の可能性は?
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「旅」に関して言うと、最近はどこの地域に行くかだけではなく、その地域でどんな体験ができるのかといった時間の過ごし方やストーリー性が求められています。そのため、テーマでつながる地域の商品がもっと開発されれば、そのテーマに関心のある消費者の心に届き、広がりが出てくると思います。これがきっかけとなり、地域間のコラボレーションが活性化したら嬉しいです。