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地域資源の活用に欠かせないプロデュースとデザイン戦略

外部講師 講演

地域資源の活用に欠かせないプロデュースとデザイン戦略

株式会社意と匠研究所 代表 下川一哉 氏

今の暮らしに合うようにデザインをどう取り入れていくか?

研修最初のプログラムは外部講師、株式会社意と匠研究所代表の下川一哉氏による「地域資源の活用に欠かせないプロデュースとデザイン戦略」。同氏はデザインを活用した経営、商品・サービス開発の支援等を行っており、今回は商工会議所職員向けに共創型プロデュースについて説明した。

最近、地域の民芸品・工芸品等の販売は厳しく、売るためには「今の暮らしに合うようにデザインをどう取り入れていくのか」、そして「川上から川下までトータルにプロデュースし体系化していく」ことが重要だと下川氏は指摘する。

同氏が勧める共創型プロデュースでは、(1)地域資源の発掘と場作り、(2)リサーチと商品企画、(3)製品・サービスのデザインと開発、(4)販路開拓のためのPRと流通戦略、(5)販売とユーザー向けのPR、と5つのステップに従って商品開発を行うことが重要と話す。しかし、地域のモノ作りの多くが(1)地域資源の発掘と場作りと、(2)リサーチと商品企画を行わずに、(3)製品・サービスのデザインと開発に入ってしまっていることが多いことに問題があると解説した。

地域資源を使って暮らしの文化をどう売るか? 何を作っていくか?

例えば、(1)地域資源の発掘と場作りでは、地元に宝の山があるのに、その価値に気付いていない人が多い。地域にはその地域資源を使った暮らしの文化があるのだが、これをプロデューサーやデザイナーが「どう売るのか」を考えながら発掘することが重要だ。続く(2)リサーチと商品企画では、「地域資源を使って何を作っていくのか」の調査・リサーチを実施し、その結果をもとに商品コンセプトの立案、差別化のポイントなどを詰めていく。

こうした商品コンセプトをしっかり決めてから、初めて(3)製品・サービスのデザインと開発で商品デザイン、ロゴ・パッケージ開発のプロセスに移っていくべきである。

そのうえで、(4)販路開拓のためのPRと流通戦略にて、バイヤー・メディアを対象としたBtoB向けの販売戦略を立てて、カタログ・ニュースリリース・ウェブサイトの作成、見本市への出展を実施する。そして最後に、(5)販売とユーザー向けのPRの一般消費者向けBtoCのPR戦略、広告・DM・ディスプレイなど、ユーザーとのコミュニケーション・情報発信を行っていくべきなのだ。

ブランドと市場にどんな接点が?

下川氏は続いて、「デザイン見極めのすすめ」について講義を行った。最近では、デザインの重要性について認識されてきたが、“デザインとは何か”について答えられる人はまだ少ないという。

実はデザインをすることによって、製品が持つブランドと販売する市場に、製品・見本市・パッケージ・ウェブサイト・カタログなど様々な接点が生まれてくる。大事なのは、この接点つまりコミュニケーションをデザインの力で高めていくことなのだ。つまり、「どこに可能性があるのか」「効果をあげるためにどこに投資すべきか」を見極めるデザイン戦略が重要となる。こうしたデザイン戦略を立てるうえで、(1)どの接点のデザインに投資するか、(2)デザイナーを適切に選んでいるか、(3)デザインを適切に評価できるかが成否のカギを握るという。

最後に、下川氏は今回の講義の理解を深めるため、自身が手がけた備前焼のプロダクト「備煎」(びせん)を例にプロデュースとデザイン戦略について解説した。参加した商工会議所職員も、自身が手がけているプロジェクトと比較して大きな関心を寄せていた。

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