東京の小売店と商売するというコト。

外部講師 講演

東京の小売店と商売するというコト。

株式会社コンタン 代表取締役 鈴木正晴 氏

作り手にお金がしっかり回れば、後継者も出てくるはず

鈴木氏が経営する「日本百貨店」は、日本のモノ作りの素晴らしさを伝えるため、4年前にオープンした小売店だ。現在は、「おかちまち本店」に加え、食のテーマパーク「しょくひんかん」、吉祥寺店「きちじょうじ」、たまプラーザ店「てらす」、池袋駅ホーム上の「ぷらっとほーむ」、古道具や木工家具の「ふるどうぐ」、富士川サービスエリアの「こうそく」、書店内の「ほんやさん」、そしてロンドン店の「ろんどん」といった合計9店舗を運営している。

もともと鈴木氏は商社でアパレルの輸入を担当していたが、「日本には良いものがたくさんある、むしろ日本の良いものを海外に輸出していきたい」という思いが強くなり独立開業した。

“日本のいいものを伝える、海外に発信する”ことを目標に事業展開した結果、最近では作り手とのネットワークが構築された。店舗を使って、生産者が実演や試食販売を行うなど、作る人と使う人との出会いの場につながっている。

鈴木氏は、「作り手のモノ作りが続かない場合、その背景にお金が続かないことが原因している。作り手にお金がしっかり回る仕組みを作れば、後継者も出てくるはず。作っている人にしっかりお金を回すことを常に心がけている」と語る。

仕入れでは、その商品がお店の個性に合うものかが問われる


日本百貨店のような小売店の行為の基本は、“仕入れて売る”ことだ。

そのため、まず最初に行うのは“探す・見つける・出会う”こと。例えば食品であれば、食べて美味しかったら、裏の表示を見て連絡し、会うことができれば時間が許す限り話をして仕入れへとつなげていく。

次の“仕入れる”では、気に入った商品の取引条件を決めて仕入れを行う。この時に大切なのは“お店の個性に合うものかどうか”。実はこのステップが難しく、仕入れの会議で担当バイヤーが情熱を持っていないと、なかなか商品化は行われない。

続いて“並べて売る”のだが、“商品をどうやって魅せていくか”“お客目線で売っているか”が重要だと鈴木氏は指摘する。例えば、お客様に女性が多ければ、女性の背の高さを考慮して陳列するなど、見やすさ・使いやすさを意識することが大切だ。

そのうえで“プロモーション”を実施していくことになるが、プロモーションでは、消費者にきちんと働きかけ、認知されないと効果が得られない。日本百貨店も最初の1週間はオープン効果があったものの、その後しばらくは誰も来なかったという。

「開店してから半年間は厳しい状況が続きました。認知度が徐々に高まると来店いただけるようになり、やっと商売といえるようになりました」(鈴木氏)。

自分たちのやりたいことは曲げずに、思いやりを持って取り組む

鈴木氏は、“バイヤーとして困っていること”について話を展開した。

実はバイヤーも商品を必死で探しているのだが、展示会で沢山の資料と名刺交換をするため、全ての出展者を覚えることは不可能である。こうした状況だからこそ、分かりやすい資料にプラスして、そこに名刺がホチキスで止まっていると、連絡するきっかけになる。

また、その場で商品を仕入れようと思って掛け率を聞くと、価格を決めずに販売している人が多いという。価格のリストがあってはじめて、交渉が始まるということに気をつける必要がある。

実はこうした商談も、すべて“思いやり”が大事だと指摘する。サンプル送ったのに発注が来ない。どうして発注が来ないのだろう…。こうした場合、喧嘩をするのは簡単だが、怒るのではなく商売にしなければならない。

そのためには、“どうして発注が来ないのだろう”を、“こうしたら発注がくるかな”に変えることが大事だ。“この間の商談どうなりましたか”とバイヤーに連絡し、接点をつくる。こうした思いやりを、最後まで持って取り組むことが必要だと指摘する。

「サプライヤーとバイヤーには、とにかく人間関係が大事。『私はこんなすごいものが作れる』ではなく、『あの人は何が欲しいのだろう』と考えてみる。商談には相手があるため、自分たちのやりたいことを生かしながら、思いやりを持った対応が大切」(鈴木氏)。

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東京で小売店をやるというコトは、家賃が高く、人件費も高く、そして競争が厳しいビジネス環境で商売をするということ。だが、人口が多く、数多くのモノが動くため経済規模は大きい。

こうした実情を踏まえて商品を開発することが求められる。最初に自分たちは“何ができるのか”“何がしたいのか”棚卸しをしてみる。その上で、守りたい軸と譲れる部分をはっきりさせ、最後に“どこに対してどのように流通させたいのか”をイメージすることが重要だ。

「自分たちが関わった商品を、どうやって流通させて、どこに売っていくのか。軸をしっかりさせて、量や価格も思いやりを持って考えてみる。思いやりは、想像力・イマジネーション。頭の中で思い浮かべて、ひとつずつ課題を解決していく。何もないところから名前を付けたり、思いを1個1個カタチにしていくと、その商品が愛おしくなる。こうした熱い思いが大切」(鈴木氏)。