商工会議所の取り組み紹介
ワークショップ
商工会議所の取り組み紹介
日経BP ヒット総合研究所 プロデューサー 加藤芳男 氏
地域資源の発掘から新商品(製品・サービス)のローンチ・育成サービス
今回も、初日に小樽商工会議所、2日目は恵庭商工会議所にて、日経BPヒット総合研究所 プロデューサー 加藤芳男氏の進行のもと研修が行われた。
加藤氏は今までの燕商工会議所・弘前商工会議所同様に、初日の夕方に「地域資源の発掘から新商品の開発、育成までのプロセスとは?」について、そして2日目の最後に行われた研修総括では「商品の弱み・強みを踏まえたSWOT分析とPR実習」がワークショップ形式で行われた。
商工会議所の取り組み紹介
美唄商工会議所 中小企業相談所 補助員 板東祐輔氏
現在、米粉カステーラ『豊穣』と『米粉が鶏モツかれー』の開発・商品化を行っている。ともに油を吸収しづらい北海道産の米粉を使用しており、小麦粉のアレルギーもないのでヘルシーに食べられる。『米粉が鶏モツかれー』は炭鉱の人が焼鳥を食べていたのに由来し、炭鉱マンが焼鳥にワイルドに食らいついているパッケージを採用。現在、地元の焼鳥店、加工会社とコラボレーションして開発を進めている。
苫小牧商工会議所 地域振興課振興係 大場達也氏
苫小牧商工会議所では、苫小牧港周辺の産業観光ルートと、地場食材を使用した特産品開発に注力している。観光商品では国内貨物取扱量が全国1位の苫小牧港と工場を見学ルートとして商品化。地場食材使用の特産品では、地元でタラコをとった後のスケソウダラの身を廃棄同然の価格で処分していることに着目。このスケソウダラの身と、氷室自然冷熱で保存しているジャガイモを活用して、苫小牧流にアレンジした美味しいフィッシュ&チップスが作れないか検討中だ。
酒田商工会議所 中小企業相談所 次長 高橋謙治氏
酒田周辺では江戸時代後期頃から、庶民の願いを込めた飾り物を傘先に吊し、幕を張り、神社仏閣に奉納祈願する“傘福”という地域資源がある。この傘福をテーマにした『湊町酒田銘菓 傘福飴』を、酒田市内の菓子店と連携して開発。傘福らしく鮮やかさを活かした飴を作るため、金太郎飴方式で様々な傘福のモチーフの絵柄を用意した。ターゲットは中高年の女性なので、パッケージも工夫して高級感溢れる仕様となっている。現在、飴は名古屋、パッケージは京都の事業者が製造しており、将来的にはどの工程も地元で行っていきたい。
加茂商工会議所 業務指導課 主任 明間浩氏
加茂市では人口、事業所の減少に歯止めがかからず中心市街地の魅力が失われている。そこで商工会議所が交流人口の増加を図るため、中心市街地の活性化支援を始めた。具体的には、加茂市はマカロニ国内生産発祥の地なので、平成21年より料理研究家を招いて、マカロニを使った新メニューの開発を進めている。市内の飲食店で食べられるのだが、残念なことに加茂では現在マカロニを作っていないため、市販を使っているのが課題。米粉や地元の野菜を入れるなど、今後は加茂でオリジナルのマカロニを作りたい。
加茂商工会議所 業務指導課 主査 滝沢照子氏
加茂市の特産品として新潟県の木、加茂市の花である雪椿の花びらを使用したスカーフ、ストール、ハンカチ等の商品『雪椿の花びら染』を製造し販売している。姉妹都市の伊豆大島町からアドバイスをもらって開発し、地元の女性が1枚1枚手で染めている。こうした草木染めの課題は、工業製品のように同じ物ができないため、通信販売では難しく、現在は商品を見てから買ってもらっている。今後、販売先、販売手段をどうやって拡げていくかが課題である。
加茂商工会議所 総務課 主事 大瀧裕未氏
北越戊辰戦争の舞台となった加茂山の山道や加茂山城跡など、加茂の魅力ある観光資源に回遊性を持たせるため、モデル散策コースや加茂の歴史ある神社や仏閣の紹介等を盛り込んだ『小京都加茂山古道 加茂歴史散策マップ』を発行。同時にJR東日本『駅からハイキング』とタイアップし、歴史散策マップを活用したまちあるきツアーを実施した。地元の人には加茂山古道を気軽に散歩してもらい、県外の方には歴史を楽しむとともに桐箪笥店に立ち寄ってもらうなど、加茂市へのリピーターを増やしたい。
加茂商工会議所 総務課 主事 渡邊祐子氏
「北越の小京都」をコンセプトにまちづくりを進めている当所と青年会議所との間で生まれた、木曽檜を使った日本酒専用の六角升『六角升之助』を販売している。加茂市には3つの蔵元があり、地酒と伝統産業の木工とを結びつけて考えられたオリジナル商品。六角形という形状は持ちやすく、また安いお酒でも檜素材で贅沢な味わいとなる。現在は商工会議所にて箱入りで販売しているが、中の商品が見えた方が良いかなど、今後の販路拡大に向けて検討中だ。
下諏訪商工会議所 中小企業相談所 清水義樹氏
諏訪地域の地域資源は沢山あるが少々小粒のため、今後、食文化を売っていくために調査事業を開始。地元の食材について調べてみると、酒・味噌・醤油等の醸造文化、野沢菜・大根・白菜の漬物はもとより、昆虫食文化(蜂の子、蚕のさなぎ、ざざむし)等が挙げられる。中でも、諏訪は山間部に位置するため、鹿肉・馬肉・猪肉等の動物性タンパク質を摂取してきた。こうしたジビエや昆虫食は栄養価が高く、とても健康的。そこで、安くて手軽に食べてもらえるようなレトルト加工品や粉末を開発し、飲食店やお土産品での提供を模索中だ。
八千代商工会議所 業務推進室 主事 松橋隆弘氏
度々水害を引き起こす印旛沼および新川開削に果敢に挑戦した治水の先駆者、染谷源右衛門に敬意を表したお祭り『源右衛門祭り』。同祭りにて、直径2メートルで5000食作れる大鍋“源右衛門鍋”を使った、もちぶた炙りチャーシューバージョンとん汁を作り提供した。とん汁の上にチャーシューを乗せたメニューだが、『ニッポン全国鍋グランプリ2015』で優勝(金の鍋賞)を受賞。源右衛門祭りでも長蛇の列ができるこの人気メニューを、地元の飲食店でレトルト商品化できないか、現在検討中だ。
小田原箱根商工会議所 箱根支部 課長 経営指導員 本山三男氏
ジオパークとは、科学的に見て特別に重要で貴重、または美しい地質遺産を複数含む自然公園“大地の公園”のこと。箱根は平成24年9月にジオパークとしての認定を受けたが、ジオパーク自体の認知度が低いので、まずは『箱根ジオパーク』のホームページを開設。続いて、ジオパーク内で地形や地層などを観察できる場所“ジオサイト”を活用した特産品開発を手がけている。現在、行政が協議会でPRを担当し、商工会議所は食・特産品作りに励んでいる。
彦根商工会議所 振興課 係長 小川聖司氏
“城+光アート&グルメ”をテーマに、国宝彦根城とその周辺の城下町近世遺産(堀・石垣・神社・寺・足軽屋敷等)、そして最先端のLED等を組み合わせて、和風で小江戸の情緒にあふれた彦根らしい華やかなイルミネーションによる夜型の観光客を増やすべく検討が行われている。同時に滋賀・彦根の名産である近江牛・近江米・湖魚・地酒・地野菜・伝統的和菓子等に、和風で小江戸の情緒を感じさせるイメージを加えた新たな食を開発したい。現在、豊富な地域資源の中から焦点を絞って、意見集約をしている段階だ。
出雲商工会議所 業務部長 石倉敬久氏
出雲大社の大国主命は医療の神であり、733年編纂の「出雲国風土記」では61種の薬草が記載されていることから、出雲は医薬、看護発祥の地と言われる。古代から続く風土記記載の薬草の中で、古くから美容・美肌に良いと言われているものを、大学と組んで成分分析を行うなど調査研究し、その薬草を地域資源として活用。出雲を訪れる女性観光客をターゲットに、薬草を活用した薬草料理・菓子・お茶などの商品、薬草温泉の開発を行っている。今後に向けて、出雲の縁結びに美容・美肌をプラスし、食と温泉、観光をセットにした滞在型観光へつながる商品等のメニューを開発中だ。