ご当地グルメの発祥ともいえる北海道ラーメンは、味噌、醤油、塩が有名だった。そこで、室蘭市内の複数店舗で提供されていたスパイシーでとろみの強いカレーラーメンを、「第4の味」として全国にアピールすることを目的とした「『室蘭カレーラーメン』ブランド化支援事業」が、平成18年度にスタートした。産業フェアやモニター調査では、認知度が低かったにもかかわらず、試食後は90%に近い割合で「味がとても気に入りました」「また食べてみたい」という結果が出た[1]。そこで「室蘭カレーマップ」を制作し、各店舗の情報、スープや麺の特徴をわかりやすいように5段階で表示し、市内のカレーラーメン店や観光スポット、宿泊施設などに無料配布した。反響は非常に大きく、全国放送のテレビ番組からの取材のほか、大手食品メーカーやコンビニエンスストアとのタイアップ商品[2]が4品発売されることとなった。
現在、プロジェクトは名前を変えて「室蘭カレーラーメンの会」として継続中。ロゴマークを作成し、室蘭ラーメンを商標登録した。食のイベントや物産展への出展、ロゴマークの入った関連グッズの製作など、幅広く活動している。
パワースポット巡りのブームも伴い、伊勢神宮への参拝者は近年増加している。しかし宿泊客はそれほど増加しなかったため、目玉となるようなグルメを誕生させよう、と実施されたのが、平成21年度「外宮(げくう)さんにちなんだ『どんぶり』を創ろう!プロジェクト」だ。食の神様である外宮の豊受大御神(とようけおおみかみ)にちなんだ「御饌丼(ごせんどん)」を地元食材を使って創作するコンテストを実施。最優秀作品は、大みそかに外宮で行われるたき火「どんど火」を表現した「どん丼火」[3]に決定した。焼き鳥丼の上にダイコンで燃え立つ炎を演出し、インパクト、味ともに申し分ないものとなった。多くのマスコミに取り上げられた結果、観光客数は伸び、日曜日を営業日に変えた店舗も出たくらいの反響があった。迎える側もこれをきっかけに、あらためて伊勢や外宮について勉強をし直し、より観光を楽しんでもらう努力をしている。全国へのPRは一通り終了したので、現在は地元への普及に力を入れ、イベントへの出店[4]、スタンプラリー[5]の開催などを行っている。
古くは万葉集に御食国(みけつくに)として登場する淡路島は、豊かな食資源を持ち食糧自給率107%を誇っている。この淡路島を有する洲本市にある洲本商工会議所では、「地産地消」と「癒し」をテーマに、御食国の素晴らしさを訪れた観光客によりアピールする、平成21年度「御食国プロジェクト~彩食兼美淡路島~」がスタートした。江戸時代からの伝統的製法で作られる淡路手延べ麺と淡路産タマネギを使った「淡路島ぬーどる」[6]を製作。プロジェクトメンバーは次代を担う若手たちで、斬新さと歴史を融合させた、これまでにないものとなった。このふたつの食材を使うことを定義に、33店舗がオリジナルの「淡路島ぬーどる」を開発。かつおダシの効いたカレー風味のものや、フレンチのブイヤベース仕立てなど、和洋中の多彩な一杯が数多く誕生した。これら店舗を紹介するマップの作成、さらに雑誌「みつけくに」を創刊するなど広くPRした結果、観光客からも好評を得て、リピーターも増えた。現在は、参加店舗も増え、食のイベントにも多数参加し、マスメディアにも取り上げられるなど、常に情報発信を行っている。また、淡路産の果物や乳製品を使った「島スイーツプロジェクト」[7]も同時に進行している。
備前焼の産地として有名な岡山県備前市。瀬戸内海に面し、豊富な海の幸に恵まれている。中でも、地元では一般的に食されているイイダコは、穏やかな瀬戸内海で魚介類を食べて育ち、柔らかく旨みがあるヘルシーな食材である。まだ全国ではポピュラーではないイイダコをブランド化して多くの人にその良さを知ってもらおうという取り組みが、平成20年度「これが備前のイイダコだ!!~備前ちんめいだこ~全国展開プロジェクト」である。まずはネーミングの選定からスタートした。岡山弁の「小さい」と米粒のような卵を持つことから「備前ちんめい(珍米)だこ」[8]に決定。モニター調査でも「タコとは思えない柔らかさ」「非常においしい」との評価をもらい、自信を持って商品開発に臨んだ。ちんめいだこを使った新メニューを広く公募した中から、タコとタケノコの食感が楽しい中華まん「ちんめいだこまん」[9]と、圧力鍋でタコが柔らかく煮こまれたレトルトの「ちんめいだこカレー」が商品化された。各種新聞、雑誌でも取り上げられ、地元のイベントにも出展し認知度を高めた。現在は「たこまん甘口」、「カレー辛口」とバリエーションが増え、新しい備前の特産品として積極的にPRしていく予定だ。