青森の冬は厳しく寒い、というイメージを変え、青森ならではの荘厳な自然環境を貴重な体験であると位置づける、【八甲田山と浅虫温泉における"あおもり冬のくらし体験"商品化事業】を平成18年度に実施した。
スノーシューを着け雪上をトレッキング[1]するのは、日常ではなかなか得難い体験であることから、モニターツアーには首都圏など県外からも多くの参加者が集まった。冬の八甲田山は非常に厳しい場所のように思われがちだが、各自の体力に合わせながら休憩を取りつつ、ゆっくり進んで行くので、誰もが安心して参加できるメニューとなっている。地元ガイドの案内の中、動物の足跡を発見したり、珍しい野鳥の観察、陸奥湾や浅虫温泉街を一望できる絶景のビューポイントもある盛りだくさんの内容に、利用者は年々増加している。
現在でも、八甲田山地区において、散歩感覚で楽しめる「ちょこっと体験」と、スノートレッキング上級者向けの「じっくり体験」ふたつのコースを5月まで実施中。浅虫温泉地区では2月下旬まで、約2時間の初級スノーハイキングを行っている。
戦国時代の歴史的英雄、真田幸村を生んだ長野県上田市。今もなお「真田ブランド」は魅力的な地域資源となっている。そこで平成22年度、【戦国武将「真田幸村」活用による観光事業】として、新たな視点での真田一族にまつわる観光ルート[1]を構築した。
真田氏と縁のある山家神社や別所温泉など、市内の名所を巡るモニターツアーでは参加者全員から高い満足度を得ることができた。この時作成したルートマップは、その後、実際に観光巡りのツールとなり、上田
市観光課への問い合わせも多くあった。また、地場産のりんごを使った特産品も開発。真田幸村が主人公のTVアニメ「戦国BASARA弐」をパッケージに、りんごのクッキー、ジュースなど4品が誕生した。
現在も継続的に開催している宝探しイベントには、市民だけでなく全国から約2千人(平成23年)を超える参加者が集った。「気軽に参加でき、まだ知られていない地域の魅力を発見できるのが楽しい」との声が多数届いている。今後は、より満足度がアップし、地域へのメリットも高まる新しい観光ルートの調査、「戦国BASARA」とタイアップした商品開発[2]、広域の観光マップの作成などを進めている。
ポッコリと突き出したお腹の愛嬌あるたぬきが街のシンボルになっている、徳島県小松島市。たぬきのようなメタボリックシンドローム(メタボ)なお腹を引き締める対策を兼ねて、平成20年度、【メタボに本気のコマツシマ フィジカル・プロテクション事業】をスタートした。
健康に対する意識を持つことや生活習慣病の予防に、楽しみながら続けられる内容を様々な分野からアプローチ。徳島赤十字病院の指導を受け、HPでメタボリックシンドロームや糖尿病の予防と改善につながる情報を公開した。また、源義経にまつわる観光スポットを取り入れたウォーキングコースを初級、中級、上級に分けて作成。名所を巡りながらのウォーキングに市民の健康への意識が高まり、観光客からの好評も得ることができた。さらに地元の特産品を使った、メタボ対策メニューも開発。すだちの香りを効かせた蒸しパン「すだちの丘」[1]、ヤマモモのワインで作った「山桃のしずく」[2]、「ブロッコリーのワイン蒸し」や「ちりめん蒸し餃子」など25種、栄養価を考え、手軽に作れるものをと、医師と栄養士のアドバイスをもらいながら何度も試作を重ねた。
現在もプロジェクトは継続しており、商標登録を取った「すだちの丘」は大手病院の病院食に採用されたほか、医療関係者のセミナーに提供するなど医療シーンにおいて注目を浴びている。これをステップにして、今後は一般への流通も目指している。
幕末、亀山社中を創立するなど坂本龍馬[1]ゆかりの地である、長崎市。NHK大河ドラマ『龍馬伝』の撮影も行われ、一躍脚光を浴びた。そのロケ地を訪ねて来る新たな観光客へのサービスを充実させるべく、平成21年度、【携帯電話による音声観光ガイド「聴かんネ」実用化事業】を実施した。
龍馬にまつわる観光スポット、坂本龍馬像、亀山社中記念館など10か所に2次元コード(QRコード)を設置して、それぞれの名所のエピソードを携帯電話で聞くことができる、という新しい取り組みだ。携帯電話を持っていれば簡単に楽しむことができるため、幅広い年代からの支持を得ることができた。また、この音声には、音のプロフェッショナルである日本音響研究所の協力の下、写真から骨格を推測し、坂本龍馬の肉声を再現したものを使用した。これには大きな反響があり、「すごく面白い技術だと思った」「意外にオジさんのような声でびっくりした」など、目新しさに対する感想の他、CMやイベントで使わせてほしい、というオファーも多数あった[2]。この龍馬復元肉声は今後、長崎市の施設などで、新たな形でお目見えするプランを企画が練られている。